順調に付き合っていると思っていた頃、私は彼の家へ初めて遊びに行くことになった。
ところが、その前日。
ずっと使っていたスマホが突然壊れた。
まったく連絡が取れなくなった。
翌日は、初めて彼の家へ行く日だった。しかも、待ち合わせの時間もまだ決めていなかった。
私はものすごく焦った。
近くの修理屋に駆け込んだものの、原因がわからないと一蹴された。
それでも諦めきれず、以前お世話になった少し遠くの修理屋へ向かうことにした。
急いで電車に飛び乗った。
ところが、まさかの停電。
「各駅停車しか停まりません」
そんなアナウンスが流れた。
夕刻を過ぎ、修理屋の閉店時間も近づいている。
焦りと不安で、胸が詰まりそうだった。
お願いだから、彼との縁を切らせないで。
そんなことを、本気で神様に祈っていた。
やっとの思いで修理屋にたどり着いた。
思えば、あの時から不吉な予感は始まっていたのかもしれない。
あとで彼にそのことを伝えると、彼はこう言った。
「Yちゃんが音信不通になっても、家まで行って、俺の住所と番号をポストに入れるつもりだよ!!」
その時は、安心した。
でも今となっては、それが本心だったのかどうか、もうわからない。
翌日、私は彼の家の最寄駅に初めて降り立った。
なんとなく。
本当に、なんとなくだった。
でも、駅を出た瞬間、不快感があった。
ネットでは、とても便利で住みやすい街だと紹介されていた。
けれど実際には、駅前に悪臭が漂い、寂れた熟女バーや、怪しい店が並んでいた。
「この街、好きじゃない」
そう思った。
私は前の職場で、いろいろな街へ行っていた。
初めて降りる駅も多かった。
それでも、こんなふうに直感的な拒否感を覚えたことはなかった。
新しいスマホに、彼から連絡が来た。
電話越しの彼の声は、とても弾んでいた。
思えばあれが、最後に聞いた、熱のこもった彼の声だったのかもしれない。
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